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毒雲日記

冴えないワ・タ・シのポイズンダイアリー

アートとデザインの定義

僕は、「豪華さはデザインの問題ではない」というブルーノ・ムナーリの言葉の信奉者である。

モノを豪華にする、ということは、富める者が貧しい者を見下すためにする貧しい行為である。或いは、貧しい者がメッキの「高級感」に自分を慰めるためにある。

その一方で、ステイタスシンボル的なスーパーカーや、ノーブランドよりも歴史あるブランド品を「やばい、カッコイイ!」と思う自分もいて、この矛盾に凄く悩んできた。

 

「デザイン」と言う言葉は非常に使い勝手が良くて、一般人も日常的によく使う。

そこで使われるデザインの良し悪しは、単に個人的な好みに過ぎない事が多々ある。名の通ったデザイナー本人でさえ、デザインの定義が個人的な考えに基いている。

 

僕の中で、「デザイン」は「問題の解決手段である」と定義していた。カッコ悪いモノはカッコ良く。使い勝手の悪いものは使い勝手が良く。高価なモノは、より安価に。難しいものは簡単に……という風にデザインすれば、全ての人が満足する。

 

一方で、「アート」は「問題の解決」しないのか、という疑問が湧いた。

そんなことはない。そこで気がついたのは、「アート」が問題解決するのは、ごくごく少数……最悪、作者だけというパターンもありうるということだった。中には、カッコ悪いけど、なぜか好きなモノとか、意味もなく高価なモノを購入することで満たされる、という人もいるだろう。

 

対して、「デザイン」は全人類の問題解決するためにあると思う。

Appleのデザインをみると、造形的な美意識を優先して、マジックマウスはエルゴノミックス的には使いにくいし、iPhoneも過剰ともいえる極薄化を目指している。ネジ一本をなくすのに価格が2割増しするのは、返って問題を作ってる。これは僕のデザインの定義からすると、良いとは言えない。

けれど、一部の人間にとっては、素晴らしいと評価される。つまり、デザインというより、アートなのだと思う。

 

僕の好きなデザイナーのマーク・ニューソンは、安価なプロダクトをデザインするとパッとしないのに、高級腕時計やライカなどをデザインするとムチャクチャカッコイイ。これは、ムナーリ先生のドグマとは矛盾していて、自分としては一時期本気で嫌いになろうとしたのだが、彼のデザインはアートなのだ、と再定義すれば、なんの矛盾もなくなる。

 

カーデザインはアートなのだ。そう考えると、カーデザイナーと言う肩書が正しくないような気がする。僕はちょっと彼等の事を馬鹿にしていた。カースタイリングは、合理的な思考から導きだされたものではないと。どうして、車は全ての人が満足するようなデザインが生まれないのだろうと思っていた。

ようするに、車はアートなのだから、好き好きが別れて当たり前なのだ。

 

以上、デザインと言いつつ、実態はアートだった案件である。

逆に、アートと言いながら、デザインだった場合もあることに気がついた。

 

「フェニズムアート」だ。

フェニズムアートの定義は、抑圧されていた女性の権利を拡張しようとする思想・運動とある。

「フェニズムアート」がアートか否かは、僕もずっと悩んでいてた。なんとなく漠然とアートじゃないな、と思ったが、それでは何か、と明確に答えれなかった。

性差別は、全人類か抱える問題と言える。

フェニズムアートに代表的なモチーフは女性器である。自身の女性器の3Dデータを無差別にばらまいたとして、逮捕されたろくでなし子も記憶に新しいし、美術館で真っ裸でM字開脚する女性アーティストなどもいる。それに対して、僕の反応(多分、皆さんも)はというと、下世話な好奇心が生まれるだけだろう。

本人は、それで主張した気になって満足していても、「フェニズム」としては全く機能していないような感じがする。

高尚っぽくしたくて「アート」と名乗ってるのかもしれないが、この問題は美術館で主張する問題ではないと思う。「フェニズムデザイン」としてあらゆる場所で提起していくべきではないだろうか。

 

最後に、僕はメインブログの方で「アートトイ」を集めてレビューしている。これもキチンと定義できるようになった。

僕が「アートトイ」と言っている作品も、作家自身は「アートトイ」じゃないって言う場合もあるし、作家自身が「アートトイ」と言っていても、作りの悪さを「味」とごまかしていたりして、僕にはよくアーティスト名乗れるな、というモノもある。

 

僕がそれを手にして、嬉しかったり、満たされたりするから「アート」トイなのだ。

普通の玩具の場合、所々の問題で省かれる手間や仕様を採用し、結果的に希少で高価になる。希少で高価だからアートトイなのではない。

 

ムナーリのことば

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