現代の人間を十把一絡げに、「こういうタイプ」としてしまうのは、あまり良くないことかと思うが、「わかってる人間」と僕が呼んでいる人種を紹介したい。
連中の特徴は、考えるよりも先に「わかってる」で済ませることである。
「犬の世話しなさい!」 → 「わかってる!」 → やってない
「お風呂は入りなさい!」 → 「わかってる!」 → 入らない
「仕事に就きなさい!」 → 「わかってる!」 → ニコ動見てる
「朝は起きなさい!」 → 「わかってる!」 → 今日は午後4時に起床
本人よりも、それを許容して来た家庭に問題があるのは明白であるが、家庭の中では、こういう人間はよっぽど出来たご両親でないと放置されてしまい、社会人になってから本人も周りも非常に苦労するのが実情だ。 彼らは、今まで生きてきて問題があっても「わかった」でスルーして来たせいなのか、基本的に怠惰で、自己の問題を問題と捉えない傾向にある。
知人の妹の話である。
その妹は、外資系の企業に派遣社員から、正社員登用テストに合格した。
まさかのシンデレラストーリー! 給料は、3人兄弟の誰よりも高く、入社以来まともにボーナス支給されない僕…否、知人が悔しがる、合計7.0ヶ月分!
これで僕…否、知人の家は安泰だ! 未来永劫の約束された繁栄。
バンザイ、シスター! お兄ちゃん、君の稼ぎに期待してフィギュア、ガンガン買っちゃう!
しかし、夢は醒めてしまう。
その会社は、外資系ならではなのか、コミュニケーションを活発にする目的で、無駄話は寧ろ推奨されていたそうだ。僕…否、知人の会社だと、生産生産生産で作業の段取りの為の会話ですら、上司のキツイお叱りが飛ぶ始末だから、僕からすると夢の様な職場であったが、あッ、知人の話だよ、そんな職場が妹には負担であったらしい。
女性が中心の職場で無駄話と言えば、そりゃ妬み嫉みの陰口に決まってる。繰り出される罵詈雑言、アイツが嫌いだ、あの子がムカつく、嫁姑旦那子供お隣さんがー。オハーからッシターまで尽きることない終わることない毒舌皮肉中傷誹謗。
とうとう妹はノイローゼになってしまい、会社を去る。
ああ、約束された未来への切符が。
こうして、知人の妹は自宅警備員となった。
彼女は典型的な「わかってる人間」となった。
誰か娶ってくれないかなー。
知人の妹の話である。
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