個人的にまず間違いないジャンルってあって、それがレース映画とミュージカル映画……なんだけど。
小さな子供と家族で楽しめる映画である……が、大人は映画よりも楽しんでる子供を見てそれを楽しむ映画である。
3DCGアニメだから許させるけれど、これが実写だったら、かなり不味い出来。
ストーリーはもっとまとめられただろうし、深く掘り下げられたと思う。
まず、キャストは賑やかだが、一人ひとりをもっとフォーカスした方が良かったと思う。キャラクターが豊富なのに(豊富にしたせいで?)、キャラ描写が甘い。
主人公のバスター・ムーンは、おそらくあの後も普通に劇場経営を失敗をしそうである。電気や水道を盗む犯罪者なのも、釈然としなかった。夢の前では何をやってもいいのか。
羊(僕はアルパカに見えた)のエディは、お金持ちの恵まれた人間だが、情熱を燃やせるものがなにもなく、だからこそバスターに憧れ、友人なのだろう。でも、あの描き方だとゲイにしか見えなかった(ゲイでもいいけどさ)。一皮剥けるような展開……それこそ、歌が実は凄く上手いとか(おばさんが名女優なので、才能は受け継がれていてもおかしくない)で、彼が独り立ちするような流れも合ってよかったのでは。ただ、バスターに利用される人って感じで胸糞悪かった(バスターは無自覚であれ)。彼は主人公になれる器だったと思う。
ブタのロジータは、あの自動機械が必要なら、主婦としての君は必要ない、という事を告げられている。世間の主婦たちは、なぜ怒らないのか。差別甚だしい。なんとなく解決した風だったが、まったく問題は解消されていない。とてもモヤモヤする。
ネズミのマイク。最後まで嫌な奴だった。凄く勿体無い。彼の反骨っぷりは、ただのコンプレックスだ。大きいだけで威張っている奴に対しての。だから、象のミーナに対して、あれほど嫌な態度をとったのだと思う。なんであんなに尻切れトンボな感じにしちゃうかなー。もっとミーナと絡ませて、かれのコンプレックスをつまびらかにするべきだ。恥ずかしくて歌えないミーナをサポートするように登場、デュエットして、お互い認め合うって展開の方がずっと良い(事前に彼女が一人歌ってるところを目撃して……とかさ)。
ヤマアラシのアッシュ。彼女、必要???
ゴリラのジョニー。彼も居なくても良かった。普通に強盗の共犯者だけれど、密告しなかった親父とその仲間が義理堅いな。
この二人は、ミーナに吸収できるんだよな。
象のミーナ。こいつももったいない。もっと悲惨な状態の方がキャラが生きたと思う。お爺さんが、歌手になっていることを反対しているとか。彼女を主役にしても良かった。
次にストーリー進行も出演者一人ひとりが立ち代わり入れ替わりしていくので、一体感がない。キャラクターもストーリーも要素が小粒でバラバラ。
一人が歌手となっていくサクセスストーリーにした方が良かったと思う。
エディか、ロジータか、ミーナ。細かい事情はミックスしたら、重厚な物語になったと思う。子供向けに作ろうとしたのかもしれないが、子供を甘く見すぎ。ピクサーのように、子供から大人まで心底楽しめるって3DCGアニメには程遠い。
最後に、字幕版と吹替版について。
僕は全体を吹き替えで見て、ショー部分だけ字幕で見た。
僕は吹替版の方が良かった。
違いは、本物の歌手が歌ってるか、俳優が歌ってるか。
確かに字幕版は上手いのだけれど、本職の歌手とはなんか違う部分があると思った。
頭でそう思ってるからって部分もあるかと思うけど。
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